プライマーtm値研究ツール研究効率化

プライマー Tm値 計算ツール|Wallace法・最近接塩基対法対応(無料・登録不要)

Research Tool

プライマーTm値計算機
Length 0 base
GC% 0.0 %
Wallace法 0.0
最近接塩基対法 -

PCRのアニーリング温度を検討するために、プライマーのTm値を計算できるツールです。上の入力欄に配列を貼り付けると、塩基長・GC%・Wallace法・最近接塩基対法のTm値がすぐに表示されます。

使い方

配列(例:ATGCGTACGTAGCTAG)を入力するだけで、次の値が自動計算されます。

  • 塩基長(Length)GC%

  • Wallace法 による簡易Tm

  • 最近接塩基対法(Nearest-Neighbor法) によるTm

相補鎖配列も同時に表示されます。空白や改行は自動で取り除かれるので、配列をそのまま貼り付けて構いません。A / T / G / C 以外の文字が含まれている場合はエラーになります。

なお本ツールの最近接塩基対法は、プライマー濃度 0.5 µM・Na⁺ 50 mM を条件として計算しています。

Wallace法と最近接塩基対法の使い分け

同じ配列でも計算法によってTm値は変わります。用途に応じて使い分けます。

Wallace法(簡易法)

Tm=2×(A+T)+4×(G+C)T_m = 2 \times (A + T) + 4 \times (G + C)

塩基数だけで求める簡便な式です。短い(〜14塩基程度)オリゴの目安には便利ですが、配列の並びや塩濃度を考慮しないため、長いプライマーでは誤差が大きくなります。

最近接塩基対法(Nearest-Neighbor法)

Tm=1000×ΔH10.8+ΔS+1.987×ln(C/4)273.15+16.6log[Na+]T_m = \frac{1000 \times \Delta H}{-10.8 + \Delta S + 1.987 \times \ln(C/4)} - 273.15 + 16.6\log[\mathrm{Na^+}]

隣り合う塩基対のスタッキング(ΔH・ΔS)や塩濃度・鎖濃度を考慮する、より正確な方法 です。PCRプライマーの設計では基本的にこちらを参照するのがおすすめです。

計算例:同じ配列でどれだけ差が出るか

実際に上のツールで計算した値です。そのまま入力して確認できます。

配列長さGC%Wallace法最近接塩基対法
ATGCGTACGTAGCTAG1650.048.0℃48.7℃+0.7
ATGGCTAGCAAGGATCTGA1947.456.0℃59.9℃+3.9
TTGACGTCAATGGGAGTTTG2045.058.0℃63.5℃+5.5
AAATTTAAATTTAAATTTAA200.040.0℃45.2℃+5.2
GCCGGCGCCTGCAGGTCGAC2080.072.0℃80.3℃+8.3

短いオリゴでは両者はほぼ一致しますが、長くなるほど、またGC含量が偏るほど差が開きます。 20塩基のプライマーでWallace法の値をそのまま使うと、5〜8℃ 低く見積もることになります。

Tm値からアニーリング温度を決める

アニーリング温度(Ta)は、プライマー対の低い方のTmから 5℃ ほど下げた値 を目安にします。

Ta ≈ Tm − 5℃(プライマー対の低い方のTmを基準にします)

例えばプライマー対のTmが 60℃/62℃ なら、低い方の 60℃ から 55℃前後を出発点にし、増幅が弱ければ下げ、非特異バンドが出れば上げて最適化します。

プライマー設計の目安

Tm値と合わせて、次の条件を満たすと安定したPCRになりやすいです。

項目目安
長さ18〜25 塩基
GC含量40〜60%
Tm値55〜65℃
ペア間のTm差5℃以内(できれば2℃前後)
3’末端G/Cで終える(GCクランプ)と伸長が安定

同じ塩基の4連続以上や、プライマー同士・自己相補(ヘアピン)はできるだけ避けます。

よくある質問

Q. Wallace法と最近接塩基対法、どちらを見ればいい? PCRプライマーの設計なら最近接塩基対法が正確です。Wallace法はごく短いオリゴのざっくりした目安に向いています。

Q. アニーリング温度は何度にすればいい? プライマー対の低い方のTmから約5℃下げた温度が出発点です。あとは増幅結果を見て±で最適化します。

Q. 計算サイトによってTm値が違うのはなぜ? 最近接塩基対法の熱力学パラメータには複数のセット(SantaLucia 1998、Breslauer 1986 など)があり、さらに塩濃度・プライマー濃度・Mg²⁺補正の既定値もツールごとに異なるためです。同じ配列でも数℃の差が出ます。絶対値をツール間で比べるより、同じツール内でプライマー対のTm差を揃えることの方が実用上は重要 です。本ツールはプライマー濃度 0.5 µM・Na⁺ 50 mM を条件としています。

Q. Tm値はどのくらいを狙えばいい? 一般には 55〜65℃ が目安です。ただし絶対値より、フォワードとリバースのTm差を5℃以内(できれば2℃前後)に揃えることの方がアニーリング条件を決めやすくなります。

Q. GC含量はTm値にどう影響する? G–C対は水素結合が3本、A–T対は2本なので、GC含量が高いほどTmは上がります。ただしGC含量が60%を超えると二次構造や非特異増幅が起きやすく、40%を下回るとTmが不足して特異性が落ちます。40〜60%に収めるのが目安です。

Q. 塩濃度やプライマー濃度でTm値は変わる? 変わります。Na⁺濃度が上がるとDNAのリン酸骨格の負電荷が遮蔽されて二本鎖が安定化し、Tmは上昇します(計算式の log[Na⁺] の項)。プライマー濃度も ln(C/4) の項として効きます。Wallace法はこのどちらも考慮しません。

Q. TaqManプローブのTm値も同じ計算でいい? 配列からTmを求める計算自体は同じですが、設計の目安が異なります。加水分解プローブは、プライマーより 5〜10℃ 高いTmになるよう設計するのが一般的です。

Q. 縮重塩基(N、R、Y など)を含む配列は計算できる? 本ツールは A / T / G / C のみを受け付けます。縮重塩基を含むプライマーでは、最もGCが高くなる組み合わせと最も低くなる組み合わせの2通りを入力し、Tmの上限と下限として見積もる方法があります。

参考記事

計算の中身をPythonで実装したい方は、こちらの連載もどうぞ。

関連記事PythonでGC%や相補鎖配列を取得する方法

関連記事Wallace法・最近接塩基対法の詳しい計算方法

関連記事PythonでTm値計算を自分で実装する